【介護予防コラム⑰】
認知症予防には運動も効果的!?

認知症とは、脳の働きが悪くなることで記憶や判断力が衰えて、日常生活や人 との関わりに支障が出ることです。生活習慣とかかわりがあり、定期的な運動や バランスの良い食事が予防につながることが分かっています。

認知症セルフチェック

年齢とともに物忘れが気になってきた方、自分は認知症なんじゃないかと心配になっていないでしょうか? 年相応の物忘れや判断力の低下は問題ありませんが、認知症も他の病気と同様、早期発見・早期治療が重要です。コラムの最後にオススメのセルフチェックをご紹介しますので、気になる方はセルフチェックをしてみましょう! 

認知とは

理解・判断などの知的機能のことです。例えば認知症で障害が起こる脳の高次の機能(記憶・判断・計算・理解など)を指します。

認知症とは

今までできていた日常生活や社会生活が、脳の病気や障害など様々な原因によって持続的に低下し、支障をきたすようになった状態をいいます。 記憶力や判断力の低下に加え、脳の画像によって診断されるもので、単なる「物忘れ」とは異なります。

代表的な認知症の種類と特徴

ひと口に認知症と言っても、さまざまな原因やタイプ、症状があります。その中から、代表的なものをご紹介します。

①アルツハイマー型認知症(約 50%)

脳の広範囲にアミロイドβ(ベータ )やタウという特殊なタンパク質が溜まり、 脳の神経細胞が壊れて減ってしまうために起こります。徐々に進行し、脳全体が萎縮していくため、体の機能も失われていきます。

初期:新しいことが覚えられなくなる、同じことを繰り返し聞く、など。

中期:体験そのものを忘れてしまう。食事をしたことそのものを忘れてしまうので、食べた後でも「食事はまだ?」と尋ねたりする。

後期:昔のことや、身についた動作、言葉の意味も忘れてしまう。

②脳血管性認知症(約 20%) 

ある分野のことはしっかりできるのに他のことでは何もできない、突然症状が出現したり変動したりするなどまだらな症状がみられます。

③レビー小体型認知症(約20%)

「知らない人がいる」といった実際には見えないものが生々しく見える、動作が遅くなり転びやすくなるパーキンソン症状などが見られ、進行が早いのが特徴です。

④前頭側頭型認知症 

身だしなみに無頓着になる、相手に対して遠慮ができない、同じ行動を繰り返す、などがみられ若い年代から発症しやすいとされています。

認知症予防に運動が有効な理由

脳が正しく働くためには、常時脳に十分な血液が流れていることが重要です。運動は全身の血流量改善に効果的であるため、認知症予防に効果的だと言われています。また、認知症の危険因子には生活習慣病が挙げられます。生活習慣病の予防にも、適度な運動が大切ですので、ぜひ運動を習慣に取り入れましょう。

それでは、自宅でできる認知症予防運動をご紹介していきます!

自宅でできる認知症予防運動

ストレッチ運動

  • 準備運動としてストレッチ運動が大切です
  • 身体のストレッチ運動にあわせて、呼吸リズムを整えることが大切です

きっこう運動

  • 体の左右で同時に別々の動きをすることです。
  • 例えば、右手をグーの形に握って前に突き出し、 同時に左手はひざの上でパーの形に開く運動です。
  •  左右異なる動きに意識を向けた運動を行うことで 認知機能に関与する脳の領域の活性を図ります。
  •  ゆっくりとした簡単な動きから始め、徐々に運動のスピードと難しさを 増していきます

筋力をつける運動

共通のポイント

  • 息はこらえず回数を数えながら運動しましょう
  • 10~15回を1セットとして、3セットを目標にしましょう
  • 体力に合わせて行いましょう
  • 頻度は週3回程度を目標にしましょう

スクワット運動

かかと上げ運動

 

有酸素運動

ウォーキング(速歩)

  • 歩幅を少し広げて、少し速めに歩きます。歩く時には、ひじを大きく振りましょう。
  • 視線は5mくらい先におきましょう。
  • 少し息が早くなる程度のペースで約10~30分歩きましょう。(途中で休憩を入れても結構です。)

学習併行型運動

運動に認知課題(簡単な計算やしりとりなど)を組み合わせると、さらに効果が高まります。

難しく考える必要はありません! 

例えば、テレビのクイズ番組を見ながらスクワットや踵上げ運動、その場で足踏み運動などを行なってもいいんです。

エアロバイクやウォーキングマシンが自宅にある方は、計算やしりとりなど考えながら一緒にそのような機器を活用すると有酸素運動と組み合わせた効果的な運動ができます。

         

運動の効果

アルツハイマー病の原因となるアミロイドβ蛋白の蓄積を減らすことや短期記憶の容量が増加するなど、適度な有酸素運動や筋力トレーニングが認知症の予防に効果的と言われています。

運動の強度

負荷が強すぎる運動はストレスとなり、 逆効果となることがあります。運動してみて、目安は「楽である~少しきつい」程度の運動が効果的です。

運動の頻度

週3回以上の運動習慣を持っていた高齢者は、認知症になるリスクが低いという研究結果も!

認知症予防には生活習慣の改善も大事!

認知症予防にはバランスの良い食事や運動に加え、 活動的なライフスタイルが有効といわれています。

生活習慣の改善

  •  認知症の原因である脳梗塞や 動脈硬化の予防に効果的です。
  •  運動習慣を身に付けましょう。
  •  魚や野菜を多く摂り、塩分は控えめにしましょう。
  •  禁煙は特に重要です。
  •  規則正しい生活を送り、睡眠不足や過度の飲酒に気をつけましょう。

日常生活の活性化

  •  外に出て人と交流しましょう。 (おしゃれを楽しむ、身だしなみに気を付ける、会話を楽しむ)
  •  趣味・余暇・スポーツ・ダンスなどを楽しみましょう。
  • クイズやパズルなどゲーム的なものに チャレンジしましょう。
  • 旅行の企画、パソコン、調理、園芸などは、脳の刺激に効果的といわれています

Let‘sリハ!では運動プログラムのみでなく、脳トレや認知症のスクリーニング検査・測定、評価(HDS-R、MMSE)、内服確認、専門医への相談なども行っております。

カラダも脳も活き活きとした健康的な生活が継続して送れるよう、このコラムを参考に工夫していただけたら幸いです!


参考文献

理学療法ハンドブック|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会 (japanpt.or.jp)

 

オススメのセルフチェックをご紹介!

インターネット上にはさまざまな認知症チェックがありますが、こちらのチェックは手軽でオススメです。

自分でできる認知症の気づきチェックリスト(東京都福祉保健局)


今回のコラム執筆者は…

レッツリハ!八代南店

管理者 理学療法士

小島順一朗

 


レッツリハ!では、定期的な身体能力チェックを行い、科学的な評価をもとにしたリハビリを行っています。

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