【介護予防コラム⑱】
自粛生活でもしっかり動いて、生活不活発病を予防しよう。

皆さん、最近「アクティブな生活」を送れていますか? 繰り返す自粛生活で、すっかり生活習慣が変わってしまったという方も多いのではないでしょうか。

感染予防はもちろん大事ですが、その一方で問題になっているのが、活動量の低下です。活動量が低下すると、身体が弱り、さまざまな不調を引き起こします。

今回は、「生活不活発病」をどう予防するかについて、お話ししていきます!

 

生活不活発病とは?

「生活不活発病」とは、不活発な生活、つまり動かない状態が続くことにより、心身の機能が低下して動けなくなってしまう状態のことを言い、「廃用症候群」とも言われています。

生活不活発病の症状とは

生活不活発病では、心身の機能が全般的に低下します。生活不活発病の症状としてリストアップされるすべての症状に当てはまっていないからといって、油断は禁物です。さまざまなバランスの上に成り立っている体のメカニズムのどこに不調が出てくるかは、個人差があるからです。

下記の症状に一つでも当てはまる方は、「アドバイス」を毎日実践するように心がけてみましょう!

生活不活発病が引き起こす症状の例

  • 少し動いただけなのに息切れするようになった
  • 立ちくらみをよく起こす

  • 食欲がなくなった

  • 便秘

  • トイレの回数が増えた

  • 立ち座りが大変になった

  • 体を動かしづらく、動くのがおっくうに感じる

  • よくふらつくようになった

  • 気分が晴れない

  • 何かしようという意欲がわかない

  • よく眠れていない・寝つきが悪い

 

生活不活発病はどうして起こる?

災害時の避難生活やコロナウイルス感染予防のための自粛など、環境が変化したことで、生活が不活発の状態に陥りやすくなります。生活不活発病は心身機能の低下よりも、まず歩行や家事、日常生活活動等の生活行為の「活動」や趣味や運動、地域活動等の「参加」の低下としてあらわれることが多いです。

以前の生活と比較して、「活動」や「参加」の機会が少なくなってはいませんか? 生活不活発病の発見は重要です。毎日の朝から晩までの生活行為の低下がないかを確認するようにしましょう。

 

自分は不活発かも?と思った方へ、「動く」生活を送るアドバイス

上の「生活不活発病の症状」に当てはまると感じた方、最近「活動」や「参加」が減ってあまり動いていないな、と感じた方は、このアドバイスをぜひ実践して、毎日の生活の中で活発に動くようにしましょう!

①横になっている時間を減らし、なるべく座りましょう。

横になっているだけでは、筋肉はほとんど使われず、だんだんと衰えていきます。しかし、座っておくだけで抗重力筋が働きます。つまり、座ることは筋肉の衰えの予防につながります。

※抗重力筋…立つ・座る姿勢を保つために使っている筋肉のこと。

②家の中でできる運動をしましょう。

現在の生活を継続するためには、身体機能を落とさないことが重要です。ハーフスクワットやカーフレイズは筋力の維持や増強にオススメです。

【介護予防コラム⑭】参照

③動きやすいよう、身の回りを片付けておきましょう。

家の中での通り道を確保しましょう。物が邪魔で動きづらいと活動意欲が低下したり、無理に通ると引っかかって怪我や転倒のリスクが高くなったりします。

④楽しみや家庭の役割をもちましょう。

趣味の時間を持つことや家庭の役割を実行することで、1日の活動量が増加します。楽しみを増やす、家庭の役割を持つなどしてみましょう。料理や洗濯、ごみ捨てやお庭の手入れなど、役割分担を決めて行うのもオススメです。

⑤気分転換を兼ねてウォーキングをしましょう。

ウォーキングは、有酸素運動です。肥満解消や、血圧や血糖値の改善に効果があります。 さらに、心肺機能の改善や骨粗鬆症の予防などの効果も見込まれます。また、景色を楽しむことで気分転換にもなります。ウォーキングのコツは【介護予防コラム⑭】をご覧ください。 

⑥歩きにくくなっても、杖などで工夫をしてなるべく歩きましょう。

歩行が難しくなった場合、すぐに車いすを使用すると良くありません。不活発となり、筋力や体力の低下につながります。まずは杖や歩行器などを使って、可能な限り自分の足で歩く工夫をしましょう。

⑦「安静第一」「無理は禁物」と思いこまないでください。

可能な範囲で安全に運動をすることは重要です。病気の時は、どの程度動いてよいか、運動をして良いかが分かりにくいものです。医師や保健師などに相談をして可能な範囲の運動を心がけましましょう。

まとめ

生活の中で動く大切さと、そのために気を付けることについてお話しさせていただきました。感染予防で閉塞感のある日々ではありますが、身体を動かすことは、身体だけでなく心の健康にもつながります。「なるべく動く!」を心がけて、いつまでも元気で長生きを目指しましょう!

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今回の執筆者は…

レッツリハ!筑紫丘店

理学療法士
前田憲男


参考文献

厚生労働省 「生活不活発病」に注意しましょう
障害保健福祉研究システム 生活不活発病に気をつけよう
厚生労働省 e-ヘルスネット ウォーキング