【介護予防コラム㉒】自律神経の「老化」は、生活習慣で整える!
年を重ねるにつれ、疲れやすくなった・体調が悪くなりやすくなったと感じている方、いらっしゃるのではないでしょうか? さまざまな原因が考えられますが、その一つに、自律神経の乱れが関係しています。
自律神経が乱れると、身体的にも精神的にもさまざまな症状が現れます。そんな自律神経、基本的には日常生活を正しく送ることで自律神経を整え、症状を緩和することができます。※病気が原因という場合もあります。これからお伝えする方法を試してみて、それでも疲労感や体調不良に変化がない・ひどくなるという方は、かかりつけ医にご相談ください。
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自律神経とは?
心臓を動かして血液を全身へと送る、呼吸する、食べ物を消化し栄養素を吸収する、暑いときに汗を出し、寒いときに体を震わせ体温調節をする―自律神経は、このような生命維持機能を調整する役割をしています。自律神経は自分の意思でコントロールすることができず、体の機能を維持するために24時間休みなく機能し続けています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、活動している時間帯は交感神経が、休む時間は副交感神経が優位になります。この二つの状態が必要に応じて切り替わることで、身体的・精神的なバランスが保たれています。自律神経が乱れた・低下した状態というのは、この切り替えがうまくいかない状態です。
自律神経は老化する
自律神経の働きが低下すると、体のだるさや不眠、発汗、ほてり、動機、めまい、頭痛などの症状が出たり、疲れやすくなったりします。年齢とともにこのようなことが多くなってきた場合、それは自律神経の老化が原因だと考えられます。自律神経のはたらきは年齢を追うごとに急激に降下し続け、機能を回復することは難しいと言われています。しかし、自律神経の働きを整えることはできるんです。では、どうすれば自律神経の働きを整えることができるのでしょうか?
自律神経を整える7つの方法
自律神経を整える、7つの生活習慣をご紹介します。
どれも毎日の生活習慣に負担なくプラスできるので、ぜひ取り入れてみてくださいね!
では、ひとつずつ解説していきます!
1.起きたら日光を浴びる
朝、目が覚めたら、まずは日光を浴びてください。体内時計を整えるためには、とても大切なことになります。日光を浴びることでセロトニンというホルモンが活性化され、自律神経を整える働きをしてくれます。
また、乱れている体内時計もリセットしてくれるので、日中の活動と夜の睡眠のリズムを新たに作り出してくれます。
2.適度な運動をする
身体を動かすことで血の巡りも良くなり、前述したセロトニンなどのホルモンも活性化されます。運動をすると疲労因子が出現し、それに伴って疲労回復因子も出現します。軽い運動なら疲労回復因子の働きが優位となるため、結果的に疲れがとれます。習慣化すれば、徐々に疲れにくい体になっていくと考えられます。まずは散歩やストレッチなどの軽い運動から始めてください。
3.湯船につかる
湯船に浸かることで副交感神経が優先的に働き、心身ともにリラックスした状態になります。リラックス状態になることで質の良い睡眠につながります。湯船に浸かる際はぬるめのお湯にしておくと、より効果が得られますよ。
4.質のいい睡眠をとる
質の良い睡眠をとることは、自律神経を整えるにあたってとても重要です。副交感神経が睡眠時に働き、心身の疲れを解消し、細胞の修復なども行なってくれます。より良質な時間にするためにも、就寝前はなるべくリラックスした状態になり、部屋の電気などは消していただいた方がいいと考えます。これを読んでくださっている皆様は「そんな習慣はない」というかたも多いかもしれませんが、就寝前はスマートフォンなどのブルーライトは避け、心身にストレスを与えないようにしてください。
5.しっかり栄養をとる
ビタミンやミネラルは普段の食事で不足しがちな栄養素ですが、自律神経を整えるためには重要な栄養素です。また、先ほどからも登場しているセロトニンは、体内で貯蔵することができないため、食事から摂取する必要があります。必要となる栄養素は、必須アミノ酸のトリプトファンやビタミンB6、炭水化物などです。これらの栄養素を意識して摂取していただきたいと思います。
6.腸内環境を整える
腸は「第二の脳」と呼ばれ、ストレスなどの影響を特に受けやすい器官です。便秘や下痢などによって腸の状態が不調だと、副交感神経の働きが低下してしまいます。そうすると血流も悪くなってしまい、栄養が身体の隅々まで運ばれず、体調不良を引き起こしてしまうのです。
そのため、便秘や下痢などお腹の調子が悪くなってしまいやすい方は、腸内環境を整えることも意識してください。
具体的には、以下のような生活習慣を取り入れることを心がけてください。
- 朝起きたら水を1杯飲む
- ストレッチなどで腸を活性させる
- 食物繊維や乳酸菌をとる
7.首を温める
首に通っている血管はとても太く、温めることで全身の血流が良くなり、疲れや冷え性などが解消されやすくなります。血流が良くなることによって、首や肩のコリなどをほぐすことにもつながります。副交感神経も活性化されるため、心身をリラックスした状態にしやすくなります。
日中で疲れを感じた時や就寝30分前に行うと、より効果的といえます。
まとめ
年齢を重ねても健康的に過ごしていただくために、ぜひ自律神経を整える生活習慣を取り入れて過ごしてみてください! 今回の話がお役に立てたら幸いです。
参考文献:小林弘幸, 自律神経の話 自律神経のギモンを専門医がすべて解説!, 図解 眠れなくなるほど面白い, 日本文芸社, 2020.2
今回の執筆者は…
レッツリハ!小笹店
理学療法士
小川英樹