【介護予防コラム㉘】eスポーツで認知症予防
いきなりですがみなさん、スポーツは好きですか?
「認知症予防に効果的で、何歳からでも始めやすい」そんなスポーツがあるんです。
今回のコラムでは、話題のeスポーツについて紹介していきます。
Table of Contents
eスポーツとは
eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称です。
囲碁や将棋などをマインドスポーツと呼び、車やボートを使用した競技をモータースポーツと呼ぶ点から、スポーツという言葉の解釈は広がりをみせているといえるでしょう。
世界でのeスポーツの競技人口は1億3000万人以上・視聴人口は4億5000万人以上と言われています。競技人口の多いスポーツであるバスケットボール・サッカー・ゴルフ・野球と比較しても、eスポーツの競技人口は決して少ないものではありません。
日本では、4年前の2018年に「eスポーツ」という言葉が世の中に広がり始め、その年の流行語にも選ばれています。
eスポーツで認知症予防
コンピューターやビデオゲームと聞いて、身体を動かすスポーツと違うので「健康とは程遠い」と感じる方もいらっしゃるかと思います。しかし、この「eスポーツ」実は認知症予防に深い関わりがあるのです。
【eスポーツの効果】日常生活がスムーズに
リズムゲームを用いて、高齢者の方にどんな影響があるのか検証が行われ、10週間にわたるゲームの利用により課題遂行能力や反応のテストで改善がみられたという結果が得られています。このことからeスポーツを継続的に行うことにより、高齢者の方の認知機能や記憶能力が改善する可能性が示されています。つまり日常において、「考えて・動く」この一連の流れが滑らかになるということですね。
【eスポーツの効果】記憶力と判断力の維持
国立長寿医療研究センターなどの研究チームは、好きな趣味を楽しむことが、認知機能(考える、記憶する、判断するなどの知的な能力)を維持するために効果的であると述べています。
(1)最初の調査で、60歳以上の参加者の方々に休日や余暇の時間をどのように過ごしているかをうかがいました。
(2)その後、2年の間隔で、参加者の方々の認知機能の状態をくりかえし検査しました。
これらの調査のデータを用いて、最初の時点で認知機能に問題がなかった人を対象として、休日や余暇の時間の過ごし方が、その後の認知機能の変化とどのように影響しているか、を分析しました。国立長寿医療センターホームページより引用
この研究の結果から「趣味」をすることは、認知機能が低下するリスクを下げていることが分かりました。
【eスポーツの効果】認知症発症リスクの減少
こちらも国立長寿医療研究センターの研究で、社会とのつながりのある高齢者ほど、認知症を発症するリスクが少ないという発表があります。
約10年間の追跡データを解析した結果、「配偶者がいる」「同居家族と支援のやりとりがある」「友人との交流がある」「地域のグループ活動に参加している」「何らかの就労をしている」の5つのつながりがある人では、認知症発症リスクが低下することがわかりました。さらに、これら5つのつながりがある人は、ひとつもないかひとつだけの人と比べて認知症発症リスクが46%低いことがわかりました。
国立長寿医療センター「社会との多様なつながり方がある人は認知症発症リスクが半減」 より引用
eスポーツはゲーム内の対戦相手と勝敗を競い合う競技です。人と交流しながらその過程や結果を楽しむことは社会的なつながりを維持できるという点での効果が高いといえます。
これらをまとめてみると、
・「ゲームをすることによる課題遂行能力や反応」
・「趣味活動を行うことによる認知機能維持」
・「社会的つながりによる認知症のリスク軽減」
3つの面から高齢者のeスポーツは、より健康でいきいきとした生活を支え、楽しみながら行える趣味となり、そして認知症予防が期待できるこれからの介護予防の一役を担うものになるのではないでしょうか。
世界で活躍するシニアプロゲーマー・チーム
冒頭に「何歳からでも始められる」と書きましたが、みなさまにとってビデオゲームとはどんな印象でしょうか? もしかしたら、ゲームをやったことのない方からすると「操作が難しそう」「若い人のするもの」といった具合に距離をとっているかもしれませんね。そんな方にこそ知っていただきたいeスポーツチームをご紹介します。
「シルバー・スナイパーズ」はLenovo Legion がスポンサーをしているスウェーデンのプロゲーマー・チームで、メンバーの年齢は60歳台~70歳台です。
eスポーツを始めたきっかけについて
このようにシルバースナイパーズのメンバー達はeスポーツだけでなく、eスポーツを通じた家族・友人とのつながりや交流を楽しんでいることが分かります。
シルバースナイパーズには大手のスポンサーがついており、現役のプロ選手団として様々な大会で好成績を収めるなど世界中で活躍をしています。このようにいくつになっても若者相手でも競い合えることがeスポーツの大きなメリットと言えるでしょう。今後高齢者のeスポーツの分野は大きく発展していく可能性を秘めています。
おわりに
eスポーツに少しでも興味を持っていただけたでしょうか。今回はeスポーツの具体的な内容までは触れませんでした。気になった方はレッツリハ! でeスポーツを使ったイベントを企画していますので、ぜひお問合せ下さい。レッツリハ! で一緒に楽しく認知症予防をしていきましょう!
この記事を読んだ方の中から、世界を代表するeスポーツプレイヤーが現れることを心待ちにしています!
引用元:
eスポーツという名の大いなる可能性 加藤貴昭 https://gakkai.sfc.keio.ac.jp/journal/.assets/SFCJ20-1-10.pdf
国立長寿医療研究センター
No.16 “趣味活”でイキイキした毎日を! https://www.ncgg.go.jp/ri/lab/cgss/department/ep/topics/16.html
社会との多様なつながり方がある人は認知症発症リスクが半減 https://prtimes.jp/a/?c=15422&r=133&f=d15422-133-pdf-0.pdf ※PDFファイルがダウンロードされます
LENOVOホームページ https://www.lenovo.com/jp/ja/news/story/2019-10-23
今回のコラム執筆者は…
レッツリハ!近見店
理学療法士 山口 卓郎