【介護予防コラム㊲】喫煙者は要注意! 息苦しさを感じたら疑うCOPDと運動療法
最近「階段の昇り降りで息切れしやすくなった・・・」と感じたり「風邪でもないのに咳や痰が長引く・・・」といったことはありませんか?その症状はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)かもしれません! あまり聞きなれない病名ですが、別名「たばこ病」とも言われ、主に喫煙習慣のある方に多い病気です。 今回はこのCOPDの基礎知識と自宅で出来る運動療法を紹介します。
Table of Contents
息苦しさの原因!? COPDとは
「タバコ煙を主とする有害物質を長期にわたって吸入する事で生じる肺の病気であり、呼吸機能検査で気流閉塞を示す」と定義されています。簡単に言うとたばこの煙など有害物質を長い間吸い込むことによって肺に炎症がおきたり、気道が傷ついたり、また、肺胞が破壊されたりすることで呼吸がしにくくなる病気です。
喫煙習慣のあった方だけでなく、長年の受動喫煙の影響によって非喫煙者でも発症する場合があります。
あてはまる?COPDの特徴
以下はよく見られるCOPDの患者の特徴です。
- 40歳以上で喫煙歴の有る方
- 痰、痰絡みの咳、ゼイゼイ・ヒューヒューのような音がする呼吸
- 階段や坂道などでの息切れ
- 風邪を繰り返す、回復に時間を要す
- 心血管系疾患、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症などの疾患を合併する
これらの特徴がある人はCOPDが疑われます。
動く事がきつくなる? COPDの重症化
COPDは気づいたときには重症化しているケースもあります。日常生活で息切れが強くなり身体を動かすことが億劫に、次第に身体活動量が少なくなります。身体活動量が減ると下肢の筋力が低下し、さらに動けなくなってしまいます。 また、咳や息苦しさからくる食欲減退による栄養不足で体力や免疫力が低下したり、肺の障害から血圧や心臓の合併症が起きやすくなってしまいます。
COPDを重症化させないために
COPDは発症すると経年的に呼吸機能の低下が進行していき完治することはありません。しかし早期発見し治療を開始すれば、進行を遅らせ健康な人と同じように日常生活をおくることができます。COPDを重症化させない為にも気になる症状があれば早めに医療機関で受診し早期発見・早期治療を心がけましょう。
どんな治療方法があるの? COPD進行の予防
第一の進行予防はずばり禁煙です。禁煙をしないとほぼ確実に症状は悪化してしまします。禁煙をした上でCOPDの進行の予防には以下のような療法があります。
- ●運動療法
- 筋力トレーニングやウォーキングなどの有酸素運動は、呼吸困難を緩和し運動耐容能(運動に耐えるために必要な呼吸や心血菅系の能力に関する機能)を向上させます。
- ●薬物療法
- 気管支拡張薬を使用して気管支を拡げることで、呼吸困難を軽減させ動作が楽に行えます。
- ●栄養療法
- COPDを発症すると、呼吸をするだけでも多量のエネルギーを消費します。体重減少を予防するために、栄養のある食事を摂りましょう。
進行の予防には三つの療法を満遍なくする事が重要です。一つでも欠けると効果が減少してしまいます。
自宅でできる! 運動療法
最後に自宅でできる運動療法の一部を紹介します。
運動する前に確認しておきたいポイント
- 食後30分は運動を控えましょう。
- 運動は「ややきつい」程度で行いましょう。
- 無理はせず体調が優れない場合はお休みましょう。
- 息切れが見られたら、休憩をし息を整えましょう。
- 最初と最後の深呼吸は忘れずに行いましょう。
- 運動中は息を止めず、息を吐きながら行いましょう。
- 運動中は
それぞれのストレッチは1回15~20秒で5回を目安に行いましょう。くれぐれも無理はしないように!
柔軟トレーニング
体幹・背中のストレッチ
体幹ストレッチ①
体幹ストレッチ②
筋力トレーニング
- 10回1セットとし、2~3セットを目指しましょう。
- 1日2回を目指しましょう。
- 運動は週3~4回程度を目指しましょう。
- 痛みや疲労を感じたら、直ちに運動を中止しましょう。
- 必ず呼吸を忘れず運動を行いましょう。
太もも上げ運動
膝伸ばし運動
立ち上がり運動
スクワット
かかと上げ運動
最後に
COPDは一度罹ってしまうと完治は困難な怖い病気です。このコラムを通じて喫煙の恐ろしさを改めて知って頂けたらと思います。
進行予防として運動療法を紹介しましたが、運動は「きつくて続かない・・・」「同じ運動ばかりで退屈」といったお悩みはないでしょうか?レッツリハ!では、理学療法士がお一人おひとりに合った運動メニューを組み立て、楽しく運動を続けるお手伝いをさせていただきます。気になった方はお近くにある桜十字のリハビリジム、レッツリハ! までお問い合わせください!
※些細な症状1つでも早期発見が進行防止に繋がります。気になる症状があれば躊躇わず呼吸器内科への受診をおすすめ致します。
今回の執筆者は…
Let’s リハ!谷中言問
理学療法士 小野 雄大