【介護予防コラム 44】基本ポイントを押さえて介助の負担を軽減しよう!
介助の際に介助対象者が転倒しそうになってハっとしたり、力の加え方を誤って身体を痛めてしまったりした経験はありませんか?
介助をするということは高齢者や身体が不自由な方のサポートをするという点からも、ちょっとしたバランスの崩れで事故につながりやすいリスクを孕んでいます。
事故を防ぐためにも、介助の基本ポイントを押さえて身体への負担を減らし、安心・安定した介助を行いましょう。
Table of Contents
基本が大切?! 介助とは
介助とは、日常生活のあらゆる場面で必要となる基本の動作や行動をサポートする行為のことです。さまざまな種類の介助が行われることによって、介護が成り立っています。
介護現場での事故
実際に介護現場では、どのような事故が起こりやすいのでしょうか。以下は厚生労働省に報告された介護時の事故の割合を表したものです。
転倒・転落などによる事故が大半を占めていることが分かります。そういった理由により、今回は介助での事故を防ぐための、介助のコツや基本ポイントにクローズアップしていきます。
介助の基本ポイント
介助を行う上で、基本となるポイントを4つご紹介します。
『できる動き』を最大限活かす
ひざを立てたり手を上げるなど介助対象者ができる能力を活かしつつ、できない動きをサポートしましょう。
『重心移動』を意識してサポート
重心移動を意識して誘導することで、お互いの負担を少なく行うこうとができます。
手は『優しく包み込むように』握る
手を握る際は、お互いに握手をするように握ります。
『腕の向き』で身体の曲げ伸ばしを調整
介助のよくある間違い
介助が必要となるときは突然やってきます。介助についての知識ややり方を知らないまま、実践になることがほとんどです。
立ち上がり介助のよくある間違い
介助対象者の手を斜め上に引っ張る
・ 介助対象者の腕や肩を痛めてしまう
・ 重心位置が手より下になるため、立ち上がらせるのは容易ではない
座りこみ介助のよくある間違い
介助対象者の身体を抱えるように密着する
・ バランスが崩れやすいため、介助対象者に恐怖を与える
・ 介助者自身が腰を痛める可能性
見よう見まねでやってみた介助で、介助対象者や自分の身体を痛めてしまうことが無いように、正しい介護のコツを押さえましょう。
介助のコツ
それでは、先に上げた2つの介助の、コツを見ていきましょう。
立ち上がり介助のコツ
立ち上がりの基本的な動きは、椅子に座った状態の介助対象者にそのまま前かがみになってもらい、体を持ち上げます。介助対象者には次のような座位姿勢をとってもらいましょう。
立ち上がるときには、初速(反動)が大切です。介助対象者には正面を向いてお辞儀をしながら、地面を蹴るように立ってもらいます。
座りこみ介助のコツ
座りこみの基本的な動きは、前かがみになりながら膝を曲げていき、お尻がついたら上体を起こします。
基本的には立ち上がりとは逆の動きのイメージですが、立ち上がり介助より座りこみ介助の方が体重移動のコントロールが難しく、介助者が腰を痛めてしまうケースが多く、介助対象者も転倒の可能性が高くなっています。
腰を痛めない介助の基本ポイント
介助では介助対象者の安心・安全を守ることは大前提ですが、介助者の身体の故障を防ぐことも大切です。 ポイントは、次の『2つの習慣』を身につけましょう。
パワーポジションを心がける
パワーポジションとは、”力を出しやすい構え”のような基本姿勢のことです。 背中が丸くならないように下腹に力を入れたまま、少しお尻を突き出すようにして胸を張ります。
”息を吐きながら”を習慣づける
力を入れるときは”息を吐きながら”行います。息を吐く行動は腹圧を高めることに繋がるため、身体が安定し、疲れやすさも変わると言われています。 腹圧を高めるための効果的な声掛けを積極的に行い、身体にかかる負担を無くしましょう。
腹圧を高めるための効果的な声掛け方法
「よいしょ!」 → 息を吐くための声掛け
「よいしょーー!」 → 息を吐き続けるための声掛け
福祉用具を活用する
介助対象者や介助者の身体の状態によっては、安全な介助が困難な動作などがあります。そのような場合は無理をせず、適切な福祉用具を利用するようにしましょう。福祉用具には介護保険で利用できるものもあります。
なお、介護度によってレンタルできる用具も異なります。ご検討の際には、福祉用具のスペシャリスト : Let’s レンタにお任せください!適切なアドバイスでサポートさせていただきます!
まとめ
今回も最期までお目通しいただきありがとうございました。今回ご紹介した介助の基本ポイントを参考に、介助対象者、介助者双方の身体状況に合った安心・安全な介助を行いましょう。 また、介助対象者ができることをすることで、身体機能の維持や向上、生活意欲・自立意識を高めることにも繋がります。できる限り介助対象者ご自身の力を使った、必要最低限の介助を心がけましょう 。ご家族の介助をする中で不安や疑問などがございましたら、ぜひお近くのレッツリハ!まで、お気軽にご相談ください!
今回の執筆者は…
Let’s リハ!光の森店
理学療法士 林田 亮