【介護予防コラム59】むくみの原因を知っていますか?作業療法士が教えるむくみの秘密と解消法!
気温が低下し始め、寒い季節へ移り始めた今日この頃。「むくみ」にお悩みの方も多いのではないでしょうか。気温が低下していくと、血管が体内の熱を逃さないように血管が細くなり、血液循環が悪くなっていきます。さらに、動いてもあまり汗をかかなくなりますので、体内に余計な水分がたまりむくみやすくなってしまうのです。今回のコラムでは、多くの方が経験している「むくみ」について、お話ししてまいります。
Table of Contents
むくみってどうして起こるの?
「血液循環が悪い」と水分が溜まっていく!?
先ほどの例にもありました通り、身体の「血液循環の悪化」は、「むくみ」を引き起こす原因とされています。
では、「血液循環が悪い状態」とは、どのような状態なのでしょうか?血液は心臓が送りだし、動脈を通り、細胞に栄養を届けて、静脈・リンパ管へ移り、心臓へ戻ります。さらに具体的に説明すると、動脈と静脈の間には細胞があります。この細胞に栄養を運ぶために動脈から水分と一緒に栄養素が染み出ていきます。そこから静脈・リンパ管に水分と老廃物が入っていき、心臓へと戻ります。この時静脈にある血液は、心臓へ自力で戻ることができないため筋肉が動いて、血液を押し出すポンプの役割をすることによって心臓へと血液が戻ります。病気ではない方でも、長時間のデスクワークや立ち仕事をすると足を動かす量が減り、血液が心臓に戻らず溜まったままになってしまいます。その溜まった水分がどんどん増えて「むくみ」と呼ばれる状態となります。
病気が引き起こす「むくみ」
以下の病気が「むくみ」を引き起こす場合がございます。
- 心臓の病気
心臓が血液を押し出す力が弱いために血液の流れが悪くなり水分が溜まりやすい状態になってしまいむくんでしまう。 - 腎臓の病気
腎臓の働きが悪くなり、体の水分が尿として排出されにくくなり、水分が溜まりやすくなってしまいむくんでしまう。 - 肝臓の病気
体の水分量をコントロールするたんぱく質がうまく作られなくなり、血管の外へ水分が出ていってしまいむくんでしまう。 - リンパ管の異常
リンパ管やリンパ節に異常があると水分の流れが悪くなりむくんでしまう。乳がんの手術後の方がなりやすいです。
病気が原因の場合、足にだけむくみが出現するわけではなく、顔や腕、お腹などにも水分が溜まることがありますので、ご注意ください。しかし!逆に考えれば「むくみ」はこれらの病気のサインになることもあります。顔や手、足がむくんでいるのにもかかわらず、原因不明な場合は注意が必要かもしれません!
むくみの解消法
このような「むくみ」を解消する方法をいくつかご紹介させていただきます。
①足を上げて寝る
一番簡単な方法で、仰向けに寝て足の下にバスタオルを丸めたものやクッションを敷いて足を少しだけ高くして寝ると足に溜まった水分が重力の影響で身体に戻りむくみが軽減します。下記のイラストのように壁を支えにして足だけを持ち上げる方法もあります。姿勢を見ると少し大変そうですが、足や腰の筋肉のストレッチ効果もありオススメです!
②入浴
お風呂に入ることもむくみ解消には効果的です。体が温まると血液循環が良くなりますので、溜まった水分を流すことができます。40℃前後のお湯に10-15分ほど入ると良いとされています。長時間や熱いと感じる温度での入浴は身体に負担がかかりますので、避けましょう。
③ふくらはぎの筋肉を使う
ふくらはぎの筋肉は下腿三頭筋と言って、第二の心臓と呼ばれるほど血液を心臓へ戻すポンプの力が強い筋肉です。下腿三頭筋はつま先を下に下げる動きで足の裏で地面を蹴ったり、つま先立ちになったりするときに強く働きます。つま先立ちは少し疲れてしまうので、仰向けに寝た状態で足先を下に蹴る動作をしたり、デスクワークの途中で踵を上げる運動を繰り返しやったりなど、工夫をしながら意識して筋肉を使っていきましょう。
④マッサージ
むくんでいる場所をマッサージするのも効果的です。足や顔などマッサージすることによって、余分な水分を排出することができます。むくみがある場所を優しく手のひらで圧迫してさすってあげたり、美顔ローラーのようなものでこすってあげたりしていただければ効果があります。あまり強い力でやりすぎると痛みの原因になるので注意してください!
⑤弾性ストッキング
少し硬く履きづらいストッキングです。最近はドラッグストアでも多くみられるようになってきました。履くと足を締め付けるような圧力があり、その圧力で血液を足から心臓へと戻してくれます。
まとめ
少し長くなりましたが、「むくみ」についてお話ししてまいりました。「むくみ」と聞くと足がむくむことをイメージされる方も多いのではないでしょうか?ですが、実際は様々な部位が多種多少な原因で「むくみ」を引き起こしているのです。
私はお酒が大好きなのですが、お酒を多く飲む方もむくみやすくなります。普段の仕事においても、座りっぱなしや立ちっぱなしになっていることが多く足がむくむこともよくあります。このように原因がわかればむくみもそれほど心配する必要はないのですが、「むくみ」の原因が不明な場合は、ぜひ検査を考えてみていただければと思います。これから寒くなり、全身が縮こまり動きが鈍くなりやすくなっていきます。むくみやすい方は先ほど説明した軽い運動から実践していただければ、むくみと運動不足の解消という一石二鳥の効果があります!
今はむくみがない方も日頃からむくまないように意識することも身体にとってすごく良い刺激になるので、ぜひ運動されてみてください!
今回の執筆者は…
Let’sリハ!小笹店
管理者/生活相談員/作業療法士
本田 敏也