【介護予防コラム61】ヘルスリテラシーを高めよう!フレイル予防に必要な健康知識とは?

新年あけましておめでとうございます。今年度も介護予防コラムでは、皆様の健康増進に役立つ旬な情報をお届けしたいと思います。今年度も何卒よろしくお願いいたします。

能登半島地震から学ぶヘルスリテラシー

昨年11日の能登半島地震、年始の出来事で日本全国が衝撃を受けた震災です。先月の日経新聞社会面に「大規模災害の発生時に避難所で過ごす高齢者に対し、理学療法士や作業療法士が行うリハビリの体制を強化する」という内容の記事が掲載されていました。能登半島地震では避難所生活が長引いたことで寝たきりなど要介護状態が懸念されるケースもあったことから、健康状態の悪化を未然に防ぐとともに社会保障費の抑制にもつなげようとの取組みです。これには全国からリハビリの専門人材が900人以上集まり、支援にあたりました。

厚生労働省による最新の報告では、要介護や要支援の認定を受けた人は721.6万人おり(202410月末時点)、介護保険制度が誕生した2000年と比べその数は3倍ほどに増えています。※1 そのような現代だからこそ、今後発生が懸念される南海トラフや首都直下地震でも介護サービスの再建をめぐる問題が生じることでしょう。近い将来、困らないためにも私たち一人ひとりがヘルスリテラシーを高め、より良い健康状態をより良く保つ自助努力が必要なのです。

※1:厚生労働省,https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m24/2410.html

今回のコラムではヘルスリテラシーを高め日頃より自分自身で健康づくりを行う重要性を認識するとともに、フレイル予防のためのヘルスリテラシーについても言及したいと思います。

ヘルスリテラシーとは?

ヘルスリテラシーとは、一般的に「健康や医療に関する情報を入手し理解して活用し適切な健康行動につなげる能力のこと」と定義されており、ヘルスリテラシーを高めることが疾病の予防や健康寿命の延伸に繋がります。では実際に、ヘルスリテラシーを高めるためにはどのようにすればよいのでしょうか。

ヘルスリテラシーを高めるには?

健康や医療に関する情報は正誤問わず、身の回りにあふれています。ヘルスリテラシーを高めていくためには、これらの情報から正しい情報を見抜き使いこなすことが求められます。ヘルスリテラシーが低いと誤った情報に振り回され、やがて健康に関する関心が低くなってしまい健康状態の悪化に至ってしまいます。

フレイル予防のヘルスリテラシー

近年のコロナ禍により、生活不活溌となりシニア層のフレイルが増加したといわれています。また、高齢社会の一層の進展により今後フレイル予防についてのヘルスリテラシーを高めることが求められています。フレイルとは健康と要介護の間にある虚弱な状態のことを指します。身体機能の低下とともに人との交流が減少し(社会的フレイル)気力の低下やうつ状態になったりすることが問題とされています。フレイルは予防・改善が可能でその対策の3本柱は「栄養」「運動」「社会参加」です。

◇栄養

「栄養(食事)」については、筋肉のもととなるたんぱく質をしっかりと摂取すること、エネルギー源となる炭水化物、身体機能を調整するビタミンを必要量取ることが重要です。このような観点から定食型の食事がお勧めのスタイルで上記の栄養素をバランスよく摂取することができます。食事については過去の介護予防コラム(VOL54を参考にしてください。

◇運動

「運動」については加齢とともに低下する筋力を維持することが最重要です。特に姿勢にかかわる抗重力筋(大腿四頭筋・殿筋・大胸筋・広背筋など)を強化するトレーニングが望まれます。抗重力筋を高める運動についても過去の介護予防コラム(VOL54で紹介されていますので参考にしてください。

 

これらのトレーニングに加え、日常生活の質に直結する歩行の安定をはかるためレッツリハ板橋みなみ常盤台で実施されているラダートレーニングの内容と考え方を紹介します。ここでのラダートレーニングの基本的な考え方は、支持基底面から、様々なステップを使い重心をはみ出させるように意識することです。これにより身体の安定が崩れますがフィードバック機能を働かせ姿勢を維持できるように体を支える筋力や体幹の力、バランス能力・さらにはプライオメトリック(一方向にかかる負荷を受け止め逆方向へ力を発揮する)の要素も含んだ能力を高めようとします。

ラダートレーニングの種類は様々ですが、この考え方に基づいたトレーニング5種類を紹介します!

▼ラダートレーニング実演動画

① 外々中中

 

② 外々1234

 

③ 外中々

 

④ 斜め前後

 

⑤ 横横戻って前後

 

◇社会参加

最後に「社会参加」についてです。たとえば、趣味を持つこともその一つと言えるでしょう。私は現在、囲碁を嗜んでおり真剣に上達しようと思い立ち、女流アマチャンピョンの方に指導いただいています。そのような働きかけは囲碁の上達のみならず、幅広い年代の方々とのつながりや新たなコミュニティーへの参加機会増加に繋がりました。このように様々なことに興味を持ち行動に移すことは、社会的フレイルを予防するにあたってとても重要なことです。「ヘルスリテラシー」を高めることは、「人生の質の向上」へと繋がるのです。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。ヘルスリテラシーについて、興味が湧いてきましたでしょうか。今年2025年は、団塊の世代がすべて75歳以上となり、超高齢社会を迎えることで、社会への深刻な影響を与える」と予想されている「2025年問題」の年です。そのような社会問題に直面するこれからの時代、自分の健康は自分で守ることが一層求められます。ヘルスリテラシーを高め、日頃から健康づくりに一緒に取り組んでまいりましょう!

今回の執筆者は…

レッツリハ関東関西エリアマネージャー
健康運動指導士 越智 直彦

レッツリハ!西宮今津店健康運動指導士 越智直彦

レッツリハ板橋みなみ常盤台
管理者兼機能訓練指導員 森 智佳子

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